【第1,241号】 記憶の真実~過去は今、そして作り変えられる~
松下幸之助翁の「経営をする上で人を知りなさい」のお言葉に刺激を受け、
※https://km.kando-m.jp/news/mm1235/
「人を知る」ために読み始めた「分子生物学」の本から本日はご紹介します。
木楽舎から出ている
福岡伸一先生の「動的平衡~生命はなぜそこに宿るのか~」という本で、
著者の福岡先生はハーバード大学、京都大学、青山学院大学で研究をされ、
現在は青山学院大学教授、ロックフェラー大学客員教授を勤められています。
知人の医療関係者より「分子生物学を哲学的に学べる」という
全く意味不明の紹介を受けた本ですが、その方のお勧めする本はすべて
素晴らしいモノばかりなので、迷わず購入し、苦労しながらも読み進めると
段々、めちゃくちゃ面白いと感じるようになりました。
今回ご紹介するのは、「記憶」を分子生物学的に解析したことの一部になります。
目からウロコの内容ですよ。
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人間の記憶とは、
脳のどこかにビデオテープのようなものが古い順に並んでいるのではなく、
「想起した瞬間に作り出されている何ものか」なのである。
つまり過去とは現在のことであり、懐かしいものがあるとすれば、
それは過去が懐かしいのではなく、今、懐かしいという状態にあるにすぎない。
ビビッドなものがあるとすれば、それは過去がビビッドなのではなく、
たった今、ビビッドな感覚の中にいるということである。
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遠い昔に失恋した彼女のことを思い出したときに、
自分は醜悪な姿に変わっていますが、彼女の姿は昔のままです。
当時の会話、二人で行った場所の記憶、そのときに抱いた感情は、
失恋した当時はほぼ事実
数年後には多少脚色された事実に近い、真実(=事実が自己都合で一部描きなおされている)
数十年経った今、自分の懐かしい、大切な思い出と思っているものは、
当時の事実とは違い、自分が浸りたい感傷に添うように描き直されています。
これが先生の言われる「今が懐かしい」のであり、
「今がビビッドな感覚の中にいる」ということです。
もしその失恋した彼女と何十年ぶりに会って、
昔の話をしても、二人が描いている過去は違うということになります。
ということは、記憶は「ビデオテープ」や「写真」のように当時のまま、
ということは無いとなります。
では、
「記憶の正体は?」
「記憶はどこにしまわれているの?」
と思いますよね?
先生の本にはそれが書かれていました。
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私たち鮮明に覚えている若い頃の記憶とは、
何度も想起したことがある記憶のことである。
あなたが何度もそれを思い出し、その都度いとおしみ、
同時に改変してきた何かのことなのである。
ではいったい記憶とは何だろうか。
細胞の中身は、絶え間のない流転にさらされているわけだから、
そこに記憶を物質的に保持しておくことは不可能である。
それはこれまで見てきたとおりだ。ならば記憶はどこにあるのか。
それはおそらく細胞の外側にある。
正確にいえば、細胞と細胞とのあいだに。
神経の細胞(ニューロン)はシナプスという連繋を作って互いに結合している。
結合して神経回路を作っている。
神経回路は、経験、条件づけ、学習、その他さまざまな刺激と応答の結果として形成される。
回路のどこかに刺激が入ってくると、その回路に電気的・化学的な信号が伝わる。
信号が繰り返し、回路を流れると、回路はその都度強化される。
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上記に書かれてあるように、記憶は神経回路にあります。
その記憶を呼び起こすのは、「刺激」です。
youtubeで、昔ラジオから流れていた曲を聴いて、何十年も前のことを思い出すのは
音楽という「刺激」によります。
同窓会で何十年ぶりに会った「見知らぬ人」も話をしていくと、
神経回路の奥に閉じ込められた記憶が呼び起こされ、「懐かしい人」に変わります。
逆に、卒業以来何度も会っている人は、数十年前の顔を思い出そうにも出てきません。
このことは先生の言われる
「信号が繰り返し、回路を流れると、回路はその都度強化される」
にあてはまるように思います。
そのため記憶は、「改変される性質」故に、
何度も何度も繰り返し思い出すと、「強化された記憶」になりますが、
今の感覚で「上書きされた記憶」になっているはずです。
このことは、人を知る上で重要だと思いました。
余談ですが、脳細胞は他の細胞と違って、一部が死んでも再生も入れ替わりもしません。
だからアルツハイマー病になると
進行を遅らせることはできても元に戻ることはないのです。
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