【第1,415号】 選択と集中はなぜ行き詰まる?~ブレークスルーの鍵~その1
今日は、最近よく話題になる「選択と集中の限界」についてお伝えします。
これは企業だけでなく、日本という国全体にも言えるテーマだと思います。
「選択と集中」とは、限られたリソースを特定の分野に集中的に投資することで、
効率と成果を最大化しようという考え方です。
90年代以降の日本企業では王道とされてきました。
私の前職でも社長がしきりに「選択と集中」と言っていました。
それで急躍進し、業績も良かったですから、当時はそれが正解だったのでしょう。
でも最近は、どうやら、それが“うまくいかない時代”に入ってきたようです。
前職の後輩に現在の事業内容を聞いてみましたが、かなりのスプレーヒッターになっていました。
※スプレーヒッター(spray hitter)」とは、野球用語で
打球を左右に広く打ち分けるバッターのことを指します。
イチロー選手が代表的なスプレーヒッターです。
話を元に戻します。
では、「選択と集中」がなぜ、うまくいかなくなったのでしょうか?
実は「選択と集中」には、3つの落とし穴があります。
1.変化に弱くなる
一つの分野に偏ると、時代の変化で一気に崩れます。
液晶に特化したシャープや、原発に特化した東芝などがその例です。
2.人材や技術の芽が育たない
短期利益を追い、将来への投資が削られてしまいます。
これからはAI時代ですが、AI対応の人材を採用しなかった企業は苦労します。
3.挑戦しない文化になる
「失敗できない」空気が、チャレンジを封じ込めてしまいます。
私の時代は企画書には企画アイデアと収支予測がセットで、
かつ企画アイデア<収支予測という風潮でしたが、
これからは企画アイデア>収支予測(=初期ではなくても良いのでは?)だと思います。
これらの問題は企業だけでなく、日本社会全体の縮図かもしれません。
京都駅近くで居酒屋を経営している知人が
「地元の京都人や日本人観光客をターゲットにしていたときは
集客、料理、接客、アフターフォローのすべてを磨き込まないと売上を維持できなかった。
でも、インバウンド景気でお客様をお断りする状態になると、
集客はしなくても勝手に来てくれる、料理も工夫しなくても美味しいと言ってくれる。
接客も平均的な日本スタイルで十分に喜んでもらえる。
売上・利益は数倍になったけれど、企業風土や従業員の人間力は大きく落ちた。」
と悩んでいました。
このように、集中しすぎると“緩み”が生まれるリスクもあるわけです。
再び、話を戻します。
「選択と集中」が通用しない日本ですが、打ち手はあります。
それが、「探索と多様性」です。
「探索」とは、「ちょっとやってみる」「まだ見ぬ可能性を探す」ことです。
たとえば会社でいえば…
・新しい商品アイデアを試してみる
・お客さんにヒアリングして、想定外のニーズを探る
・異業種とコラボしてみる
・小さな実験を繰り返して、反応を見る
つまり、「うまくいく保証はないけど、とりあえず試してみよう」という
柔らかいチャレンジの姿勢と言えます。
「多様性」とは「いろんな考え方や選択肢を残しておく」ことです。
たとえば…
・年齢・性別・専門の違う人とチームを組む
・同じ課題に複数のやり方で取り組む
・意見がぶつかっても「一度受け止める」文化をつくる
・アイデアの芽をすぐに否定せず、しばらく寝かせてみる
つまり、「これしかない!」と決めつけず、選択肢を確保しておくことですね。
いざというとき、そこから突破口が生まれます。
すなわち「探索と多様性」とは、
「いろんな種をまきながら、小さく試して、大事に育てる」ことです。
その中のどれかが芽を出し、やがて大きなブレークスルーになるかもしれません。
※ブレークスルーとは現状を打ち破り、流れを一気に変える突破口のことです。
本日はここまでにして、明日はこの続きをお楽しみなさって下さい。
余談です。
上述した知人の経営者の話には続きがあります。
創業以来苦労を共にした店長が辞表を提出しました。
退職理由は「自分が成長できない」ということです。
「集客、料理、接客、アフターフォローのすべてをマネジメントすることは大変だったけど、
その苦労と引き換えに自分とスタッフの成長や達成感があった。
今はそれがないから、やりがいや目標を失った」
これを聞いた社長は、今の状態を懸念していたので即座に
「御所南に新店を出して、1から鍛え直そう!一緒にやってくれるか?」
と切り出し、店長はにっこり笑って、握手をしてくれたそうです。
※御所南は地元の京都民が集まる地域で超激戦区です。
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