【1568】 「〜しましょう」の違和感を掘り下げる～人はなぜ“わかりきった助言”を繰り返すのか？～

「暴飲暴食はやめましょう。」

「健康のために運動をしましょう。」

「もう少し痩せましょう。」

健診に行けば、必ずと言っていいほど、こうした言葉を投げかけられます。

しかし私は、この「〜しましょう」という言葉にどうしても抵抗があります。

心の中で「わかっとるわい」と思い、まったく聞く耳を持てません。

では、なぜ人は相手に対して、わかりきっている「〜しましょう」を使うのでしょうか。

外国にも同じニュアンスがあるのでしょうか。

そして、仏教やキリスト教など宗教の教えにも、この構造は存在するのでしょうか。

この3つの「？」に対して、AIと一緒に考えた結論をお伝えします。

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■　なぜ「〜しましょう」を使うのか

理由はいくつかあると思いますが、

最も大きいのは「責任の所在を曖昧にできる便利な表現」である点でしょう。

「痩せなさい」「運動しなさい」と断定すると角が立ちますが、

「しましょう」なら、注意しているのか、提案しているのか、応援しているのかが曖昧になります。

つまり、相手への指摘を“安全地帯から”行える言い方なのです。

相手の反発も少ないですし、もし相手がやらなくても自分には責任がありません。

若手コンサルタントや私もビギナーの頃はこのような言い方をしていたように思います。

また、日本語特有の“和を乱さない表現”として非常に使いやすい言葉なのだと思います。

私のように「わかっとるわい」と思ってしまう人には逆効果なのですが、

世の中では驚くほど多用されています。

■　外国にも「〜しましょう」に似た表現はあるのか

英語の “Let’s ○○” が最も近い表現です。

ただし、“Let’s” は本来「Let us」＝「私たちで一緒に○○しよう」という意味で、

日本語の「逃げ道を残した安全な呼びかけ」とは少しニュアンスが異なります。

外国でも柔らかい提案表現はありますが、

日本のように「責任回避＋建前＋和」の全部が混ざった言い方は珍しいと言えます。

■　宗教にも「〜しましょう」は存在するのか

仏教の説法でも「怒らない心を育てましょう」「欲に振り回されないようにしましょう」などの表現が登場します。

ただし、これは“強制では悟りに近づけない”という前提があるからです。

あくまで自主的に気づき、選択することが重視されます。

キリスト教でも “Let us pray.”（共に祈りましょう）という表現がよく使われます。

こちらは、共同体としての祈りを強めるための呼びかけです。

つまり、宗教における「〜しましょう」は、

・導く
・促す
・一緒に歩む

という意味が強く、日本語の“責任のあいまい化”とは少し構造が異なります。

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私たちが日常で使う「〜しましょう」には、

・相手の反発を避けたい
・自分の責任を明確にしたくない
・和を乱したくない

という日本人独特の深層心理が働いています。

医者の「暴飲暴食はやめましょう」も、言葉としては正しいです。

ただ、言われた側が「わかっとるわい」と思うのは、

“責任を取らない立場での助言”

と受け取るからでしょう。

医者であれば、そのような言い方になることは理解できますので、大人の私は

「いつもありがとうございます」

と返しますが、組織においてはダメです。

人に要求するのであれば、その責任を負うべきなので、

はっきりと「今日から～してください」と言わなくてはなりません。

■本日の教訓

言葉は内容より「投げかけ方」が人の心を動かす。

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