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【第680号】 プーチン大統領は「論語と算盤」を読むべき
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本日は、
渋沢栄一翁の「論語と算盤~自己修養篇~」(現代語訳:奥野宣之氏)
P150にあります「動機と結果」をご紹介します。
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動機と結果
私は志の曲がった軽薄な秀才は嫌いです。
どれだけ〈所作〉が巧みであっても、
誠意のない人間と肩を並べるのはイヤです。
しかし、神ならぬ身の人間に、人の志まで見抜くことは簡単ではないので、
自ずと〈志〉の善し悪しにかかわらず
〈所作〉の上手い人間に利用されるようなケースも出てくるのです。
陽明学なんかでは「知行合一」とか「良知良能」とか言って、
「志として思うことがそのまま行為として出てくるのだから、
志が善なら行為も善、行為が悪なら志も悪である」と考えるわけですが、
私のような素人の考えでは、〈志〉が善でも〈所作〉が悪になることもあるし、
一方で〈所作〉が善でも〈志〉が悪になることもあるように思えるのです。
私は西洋の倫理学や哲学などは少しも知りません。
ただ四書(儒学のテキスト)や宋代の儒学者の学説によって、
少し人間の性や処世の方法を研究しただけですが、
私のこのような意見について、
思いがけないことに「パウルゼン(ドイツの哲学者)の倫理説と
ピタリ一致する」と言ってくる人がいます。
その人の説明は次の通りです。
英国のミュアヘッドという倫理学者は
「動機さえ善であれば、結果は悪でもいい」と言っている。いわゆる動機説だ。
その一例として、
「クロムウェル(軍人、清教徒革命で議会軍を率いた。1599~1658年)が
イギリスを危機から救おうとして、暗愚な君主を処刑して、
自分を皇帝の地位に就けたのは、倫理上、悪ではない」
と言っているが、現代でもっとも真理として支持されているパウルゼンの説では、
「動機と結果、つまり〈志〉と〈所作〉の分量と性質を
じっくり比較してみなければならない」とされている。
たとえば、同じように「国のために」と言われる戦争の中にも、
領土を拡張していくためのものもあれば、
国が滅ぼされないようにやむを得ず行われるものもある。
国の主権者はみんな、「国家と国民のために行ったことだ」と言う。
しかし、どうしても領土を拡張する必要もないのに、
戦争を始めてしまったとすれば、その主権者の行為は悪だ。
だが、そんな無謀な開戦であっても、
たまたま好運なことに連戦連勝することができ、大いに国を富ませて、
国民の意識を啓発するきっかけになった場合には、
その行為は善と言わねばならない。
先ほどのクロムウェルの場合でも、
ラッキーなことにイギリスの危機を救えたからよかったものの、
いくら志が熱烈であっても、
最終的に国を危うくするような結果を招いていたなら、
やっぱりその行為は悪と判断しなければならない。
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プーチン大統領は戦勝記念日に「侵攻は正しい決定」と口にしています。
上記の翁の言葉によると「動機は善」ということでしょう。
しかし、ウクライナ人に対しての残虐な行為と
今後のロシアと諸外国との関係を考えると
「結果は悪」です。
ミュアヘッドの言う
「動機さえ善であれば、結果は悪でもいい」
には納得できません。
「動機が善であれば、結果も善であるべき」
と思います。
結果的に悪になるのであれば、何もしない方が良いと思います。
逆に
「動機が悪であっても、結果が善であればいい」
の方が、世の中の役に立ちますし、必要とされます。
理念型の経営を行っていても、
従業員満足や顧客満足、会社の成長など結果が出ていない企業もあれば、
何も考えずに経営をしていても
高い従業員満足や顧客満足を提供し、会社も成長している企業もあります。
どちらの企業が現時点では良いのでしょうか?
荀子は勧学篇で
冥冥の志なき者は、昭昭の明なし
と言っています。
志をもって目に見えぬ努力を積み重ねない者には、
素晴らしいことが訪れるはずはない
という意味です。
やはり、この考えは基本でしょう。
であれば、経営者は
志をもって目に見えぬ努力を積み重ね
素晴らしいことが訪れるるようにしなければならない
と「動機と結果」がイコールにしなければなりません。
これが経営者の仕事です。
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