【第1,022号】 西郷隆盛の「敬天愛人」に共鳴する荘内藩 『南洲翁遺訓』の誕生と普及
今回は
「南州翁遺訓 西郷隆盛が残した『敬天愛人』の教え 著者 松浦光修」
から西郷隆盛の逸話を紹介します。
この号で、西郷隆盛の「敬天愛人」の心を本人だけでなく、
部下の黒田清隆も実行していたことをお伝えしました。
何度読んでも素晴らしい話なので一部を再掲します。
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荘内藩と西郷隆盛
慶応三(1867)年の年末のことです。
江戸の薩摩藩邸を中心にして結集していた浪人たちは、
江戸の治安を、さんざん乱していました。
江戸の治安維持を任されていたのは、
荘内藩の千人の兵を中心とする五つの藩の軍隊でしたが、
あまりのことに、とうとう堪忍袋の緒が切れ、
薩摩藩邸を包囲して砲撃し、焼き払ってしまいます。
この時、薩摩藩邸では、数十人が戦死しましたが、この事件ののち、
遠く離れた鳥羽伏見では明治新政府と徳川幕府との戦いの火蓋が切られ、
それから後、わが国では、一年半ほど内乱(戊辰戦争)がつづきます。
その薩摩藩邸への攻撃から、ほぼ十ヶ月ののちのことです。
荘内藩は、攻め寄せてきた新政府と戦い、やがて降伏します。
明治元(1868)年九月のことです。
事情が事情ですから、荘内藩の人々は、
どれほど厳しい降伏条件を突きつけられるのか‥‥‥
と心配でなりませんでしたが、意外にも、
新政府軍の参謀である薩摩藩の黒田清隆からは、
驚くほど優しく、ゆるやかな降伏条件が示されます。
そして黒田は、藩主の上座に座って、いちおうの“言い渡し”を終えると、
ただちに藩主の下座にまわり、
「役目のために、ご無礼をいたしましたが、お許しください」と、
じつに礼儀正しい態度です。
しかも、そのあとの態度や言葉にも、少しも勝ちに驕って、
威張ったところが見えません。
まことに武士道をわきまえた立派な態度でした。
荘内藩の人々は、いたく心を動かされます。
明治二年、荘内藩を代表して菅実秀が東京に出てきて、
荘内藩に対する寛大な処置に対して、黒田にお礼を言います。
すると黒田は、
「あれは私の処置ではありません。すべて西郷先生の指示でやったことです」
と言うではありませんか。
しかも、その「西郷先生」という人は、新政府軍の指揮官でありながら、
荘内藩が降伏した翌日には、荘内から出て行こうとしていたそうです。
戦争では、相手が降伏したばかりのころは、油断してはなりません。
すぐに反乱が起こる可能性があるからです。
ですから、ふつうの指揮官なら、しばらくの間、そこに止まって、
反乱が起こらないか、目を光らせるものです。
ところが、黒田は、こう言いました。
「荘内から、すぐに帰ろうとされた時、私たちは西郷先生を止めました。
けれども西郷先生は、
『戦いは‥‥‥勝てば、もうそれでいいよ。あとは、同じ日本人‥‥‥。
新しい日本をつくる同志じゃないか。もう敵でも味方でもないよ』
と、おっしゃったのです」
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この逸話には素晴らしい続きの物語がありました。
紹介します。
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『南洲翁遺訓』出版の運び
西郷さんに大恩を感じている荘内藩の菅実秀は
西郷さんと直接会ったことのある人々に呼びかけて、
人々の記憶や記録に残る西郷さんの、珠玉のような人生の教訓や、
甘露のような人生の智恵に満ちた言葉を、編纂して発行するという、
そのころとしては、容易ではない事業を企画するのです。
こうしてその本の編纂がはじまります。
明治政府からの妨害もありました。
けれど、旧荘内藩の人々は、その妨害を断固として退け、
翌明治23年、ついに発行されたのが『南洲翁遺訓』です。
旧荘内藩の人々は、それを単なる“記念事業”のようなもので
終わらせる気はありませんでした。
人々は、この本を風呂敷に背負い、全国を配布してまわるという、
涙ぐましい努力をつづけたのです。
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如何でしょうか?
恩を受けた人の本を編纂し、多くの人がそれを全国に配布して回る
このような恩返しをしたくなるような人が西郷隆盛なのです。
「敬天愛人」の心を西郷隆盛と触れ合った人も持つ。
素晴らしいと思います。
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