【第1,371号】 家業承継の苦悩と上杉鷹山の教え~二代目経営者が直面する壁を乗り越えるヒント~
広告業時代の後輩が
「家業を継いだが、うまく経営できず、ストレスを抱えている」
とのことで相談を受けました。
内容は、長年家業に貢献してきた役員や管理職が、
後輩が現場改革をしようとするとそれを阻もうとしている、ということです。
二代目への事業承継でよくある話です。
彼が悩んでいるのは、時代の流れに改革をしたいのに、
古い年長者達が、過去の成功体験にいつまでもしがみついていることでした。
まるでドラマか小説のようでした。
童門冬二先生の「小説 上杉鷹山」を最近読み返したばかりでしたので、
「なんてバッチリのタイミングだ!」
と思ったものです。
17歳で米沢藩主となった鷹山は、深刻な財政難を立て直すため、
倹約と殖産興業を推進し、藩政改革に着手します。
しかし、既得権益を守ろうとする重役たちの強い反対に遭い、一時は孤立します。
それでも、民を第一に考えた信念を貫き、徐々に支持を集め、改革を断行していきます。
結果、藩の財政は回復し、その政治手腕と仁政は後世に語り継がれ、
日本史上屈指の名君と称えられています。
アメリカの第35代大統領 ジョン・F・ケネディ は、
「もし日本史上で一人の政治家を選ぶならば、私は上杉鷹山を選ぶ」と述べ、
鷹山の藩政改革や民を思う政治姿勢を高く評価しました。
17歳で猛烈な反対の中、藩政改革を進めた鷹山を手本に頑張れ、と彼には伝えました。
PHP研究所から出ている松下幸之助翁の
「経営のコツここなりと気づいた価値は百万両」
にも同様のことが記されていますので、抜粋して紹介します。
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先代のあとを継いで若い二代目が社長に就任するという場合、
まわりの幹部はほとんどが年長でしかも功労者です。
その中に適性を欠く人があったとしても、
「辞めてください」ということはそう簡単には言えません。
どうしてもそこに人情が働きます。それが普通の姿でしょう。
しかし、経営者としてそれでいいのか、といいますと、決していいとはいえないと思います。
いかに人情としてはしのびがたくても、
経営者としては早急に手を打たなければならないと思います。
つまり、過去の功労に対しては十分それに報いる配慮はしつつも、
経営の重要な地位にはほんとうに適性ある人をあてるようにするということです。
そのためには勇気がいります。それを実行する力がいります。
それは、どうすれば生まれてくるのでしょうか。
私はそれは、その人が会社というものを自分個人のものと見るか、
従業員のものと見るか、あるいは社会のものであると見るか、
その解釈いかんによって生まれてくるものではないかと思います。
つまり、もし会社を自分個人のものと考えますと、
“自分のために大きな功労のある人を勝手に辞めさせるわけにはいかない”
ということになりましょう。
しかし、“この会社は決して自分一人のものではない。
小さいといえども先代からの伝統があり、
その伝統を通じて従業員のために役立ち、社会のために役立っている。
それを自分が預かっているのだ”というような考えに立つならば、
“自分にはみんなのためにこの会社を発展させていく務めがある。
その務めを果たすためにはやはり人情にとらわれず、
経営の適性ある者がその衝に立つようにしなくてはいけないのだ。
過去の功労にはまた別の方法で報いよう”ということになってくると思います。
そこに、言いにくいことでもあえて言うことができる勇気や力が湧いてくると思うのです。
それはいいかえますと、何が正しいかということを考え、
自分はその正しいことにもとづいて行動するのだという信念に立つということです。
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鷹山の歩いた道をそのまま要約したような幸之助翁のお言葉です。
私はホームセンターに大卒一期生として入社し、
半年後には自分より年上で経験も豊富な人を部下に持ちましたが、
「お前の言うことだけは絶対に聞かん」
とハッキリと口に出されましたし、指示とは真逆の行動を取ったり、
会議中に「くだらん」と言って出ていく人もいました。
当時は誰にも相談できず、図書館で何冊もマネジメントの本を読みました。
そうした経験が今の自分を作っているので、
当時の先輩方には感謝で一杯ですが、後輩の気持ちは痛いほど分かります。
その後輩は、鷹山も幸之助翁の本も読んだことがないという人間でしたので、
「そんなことだから、古い人の信頼を得られないんだ!」
と強く助言しました。
童門冬二先生の「小説 上杉鷹山」を読んだことがない人は是非、お読みください。
歴史小説&経営者としての自己啓発が学べますが、部下を持つ人であれば、
誰にとっても参考になるはずです。
読むのは2回目なのに、何度となく目頭が熱くなりました。
本を読んでいて、嗚咽が漏れたのは初めてかもしれません。
童門冬二「小説 上杉鷹山」
松下幸之助「経営のコツここなりと気づいた価値は百万両」
https://konosuke-matsushita.com/management/keieinokotu.php
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