【第1,419号】 なぜ人は偏った憶測をしてしまうのか? 〜ケリーの自己奉仕的バイアスから学ぶ(2)〜
【第1,418号 なぜ人は偏った憶測をしてしまうのか? 〜ケリーの自己奉仕的バイアスから学ぶ(1)〜】
https://km.kando-m.jp/news/mm1418/
この号の続きになります。
前回は、「なぜ人は偏った憶測をしてしまうのか?」というテーマで、
ケリーの帰属理論をもとに、私たちが他人の行動をどう判断しているのかを見てきました。
今回は、その「帰属判断」が「自分のことになるとどうなるのか?」に注目していきます。
私も含めて、人は自分のことになると都合よくねじ曲げてしまうことがあります。
これが「自己奉仕的バイアス」です。
例えば、成果が出たときは、「自分の努力や能力のおかげ」と思いがちですが、
逆に失敗したときは、「部下が悪かった」「お客様が難しかった」「タイミングが悪かった」
と、自分の責任を回避してしまう傾向があるんですね。
現場のリーダーにとって、このバイアスはとても危険です。
たとえば、
部下の意見を「的外れ」と決めつけたり、
チームの失敗を「メンバーの力量不足」にすり替えたり、
自分の判断ミスを「環境のせい」にして学ばなかったり、
(ジブンノコトダトドキドキシテイマセンカ?)
これでは、チームは育ちませんし、自分自身も成長しません。
では、偏った憶測をしないためにどうすれば良いでしょうか?
人が偏った憶測をしてしまう理由には、次のような4つの心理的背景があります。
1.脳の処理をラクにするため(ショートカット思考)
意味がわかりませんよね?
人間の脳は、限られたエネルギーとスピードで情報を処理しなければなりません。
そのため、いちいちすべてを論理的に丁寧に考えていたら間に合わないんです。
そこで脳は、「過去の経験」や「見た目の特徴」「印象」などを頼りに、
素早く結論を出すための“近道”を使います。
これが「ヒューリスティック(heuristics)」と呼ばれる思考のクセで、
いわば“ショートカット思考”と言われています。
例えば、
「スーツを着ているから、ちゃんとした人だろう」
「みんながそう言ってるから、きっと正しいんだ」
「前もあのタイプの人は面倒だったから、今回も同じだろう」
こうした判断は、速くてラクだけど、正確とは限りません。
むしろ、偏った憶測やバイアスを生み出す原因にもなります。
なので、「脳がサボってる」わけではなく、
「効率を優先する結果として生まれる思考のクセ」と捉えると理解しやすいです。
しかし、見られる側にしてみれば「ちゃんと見てくれよ!」と思いたくなります。
注意したいものです。
2.自尊心を守るため
素直になれば良いのに、変に突っ張ったりしたことありませんか?
若い頃の私は、今から考えるとどうでも良いプライドを大切にしたために
多くの失敗をしました。
3.自分の信念や経験に合うように世界を見てしまうため
これも2と同じような思考と言えるでしょう。
自分の価値観や世界観を大切にする・・・皆さんの周囲にもいらっしゃいますよね?
4.周囲の価値観や文化の影響を受けるため
報道、SNSでいつの間にか自分の考えがそちらに引きずられることがありますよね。
鵜呑みにせずに、自分で考え、判断することです。
これら4つの「自己奉仕的バイアス」にとらわれないポイントは
「あ、自分はいまバイアスにとらわれてるかもしれない」
と自身に問いかけることです。
これを意識するだけで随分と思考の柔軟性が生まれます。
そして、前号で述べた【一貫性】【弁別性】【合意性】の3つの視点から、
冷静に物事を判断する習慣を持ってください。
私は
「常に自分を俯瞰して見る」
この言葉を大切にしています。
これは、楠みちはるの湾岸ミッドナイトに出てくるセリフですが、
まさにこのバイアスから自由になるための言葉だと思います。
自分を客観視し、偏らない思考を心がけることが、
より良いリーダーシップや信頼関係づくりにつながっていくのではないでしょうか。
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