【第1,433号】 「まず動け」に潜む落とし穴~小早川隆景に学ぶ後悔しない選択~
久し振りに童門冬二先生の「戦国名将一日一言」からの引用となります。
今の時代とは世の中のスピードがまったく異なるため、初めて読んだときは「古い考え方だな」と感じました。
しかし、改めて読み返すと、むしろスピードが求められる現代だからこそ大切な考え方ではないかと、
深く心に響きましたので、今回ご紹介します。
文中に出てくる小早川隆景(こばやかわ・たかかげ)は、毛利元就の三男で、戦国屈指の名参謀です。
知略と沈着さを兼ね備え、家中でも信頼が厚く、豊臣政権下でも重臣として重きをなしました。
その隆景と親しくしていたのが、豊臣秀吉の軍師として名高い黒田如水(くろだ・じょすい)です。
如水は鋭い洞察力と、卓越した戦略眼で知られた人物です。
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後悔するような決断はするな。 小早川隆景
小早川隆景の同僚に黒田如水という武将がいた。
決断力とするどい情報の分析力で有名だった。
ある時この如水が隆景に訊いた。
「私は決断は早いが、後で後悔することが多い。
みているとあなたはそういうことは少ない。なぜだろうか?」
隆景こう答えた。
「あなたは才智がはなはだ鋭く、一を聞いて十を知る。
そこへいくと私は愚鈍で、一を聞いてもその一にひっかかる。
決断する前には、長く思案をする。
が、決断した時は思案に思案を重ねたうえのことなので、二度と後戻りをすることもない。
同時に決めたことを後悔することもない」
隆景は自分のやり方を、
「長く思案して、遅く決断する」
そう言った。同時に、
「長く思案するとは、このことを行った時に、
他人に対して果たして仁と愛が貫けるのだろうか、ということを物差しにする。
仁愛の道に背くような決断は、決していい決断ではない。
黒田殿が後悔なさるのも、おそらくいったん決められたことが、
仁愛の道に違うのではないかという疑いが湧くからだろう」
これを聞いた如水は、
「まさしくそのとおりだ」
と頷いたという。
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現代は「スピードの時代」と言われ、
「まず動け」「走りながら考えろ」
という言葉が飛び交っています。
確かに、変化の激しい今の時代は、タイミングが重要ですし、まず行動しなければ何も生まれません。
その意味では、「まずはやってみる」ことが大切であり、
試行錯誤を繰り返しながら改善していくスタイルが成果に結びつくことは間違いありません。
しかし一方で、人生や組織を左右するような「大きな決断」には、
「とりあえずやってみる」という姿勢が重大なリスクを招くこともあるのです。
その観点で見れば、小早川隆景が説く、
「長く思案し、仁愛の道にかなうかを物差しにする」
という姿勢は、現代にも通用する普遍的な判断の軸であると言えるでしょう。
ここで重要なのは、「仁愛の道」という軸がぶれないことにあります。
仁愛とは、他人を思いやり、慈しむ心です。
「決断によって誰かを傷つけないか?」
「誠実さを欠いていないか?」
こうした視点を持つことで、自分にとっても、相手にとっても後悔のない選択が可能になります。
スピードと効率が求められる今だからこそ、やみくもに「まず動く」ではなく、
“仁愛”という物差しで、一度立ち止まって考えてことが大切です。
この立ち止まりは、スピードを失うようなことにはなりません。
ほんの“一呼吸”の時間です。
しかしながら、この一呼吸こそが、未来を後悔しないための重要な時間になるのだと思います。
■本日の教訓
速く動くことと、浅く決めることは違う。
仁愛という軸が、後悔のない決断をつくる。
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童門冬二 「戦国名将一日一言」
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